根管治療(歯内療法)
- Estrela C, Bueno MR, Leles CR, Azevedo B, Azevedo JR. Accuracy of cone beam computed tomography and panoramic and periapical radiography for detection of apical periodontitis. J Endod. 2008 Mar;34(3):273-9.
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https://www.aae.org/specialty/wp-content/uploads/sites/2/2017/06/conebeamstatement.pdf - https://pescj.org/member/
- Gorni FG, Gagliani MM. The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-up. J Endod. 2004 Jan;30(1):1-4.
- Setzer FC, Shah SB, Kohli MR, Karabucak B, Kim S. Outcome of endodontic surgery: a meta-analysis of the literature- -part 1: comparison of traditional root-end surgery and endodontic microsurgery. J Endod 2010;36(11):1757-1765.
- Grossman LI. Intentional replantation of teeth. J Am Dent Assoc. 1966 May;72(5):1111-8.
- Wang L, Jiang H, Bai Y, Luo Q, Wu H, Liu H. Clinical outcomes after intentional replantation of permanent teeth: A systematic review. Bosn J Basic Med Sci. 2020 Feb 5;20(1):13-20.
- Dental Dams AAE Position Statement 2017
https://www.aae.org/specialty/wp-content/uploads/sites/2/2017/06/dentaldamstatement.pdf - https://www.ultradent.jp/products/categories/prepare/caulking-and-putty-pastes/oraseal
- Pigg M, List T, Petersson K, Lindh C, Petersson A. Diagnostic yield of conventional radiographic and cone-beam computed tomographic images in patients with atypical odontalgia. Int Endod J 2011;44(12):1092-1101.
- Estrela C, Bueno MR, Leles CR, Azevedo B, Azevedo JR. Accuracy of cone beam computed tomography and panoramic and periapical radiography for detection of apical periodontitis. J Endod 2008;34(3):273-279.
- van der Sluis LW, Versluis M, Wu MK, Wesselink PR. Passive ultrasonic irrigation of the root canal: a review of the literature. Int Endod J 2007;40(6):415-426.
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根管治療とは、歯の根管にまで細菌が感染してしまっている場合において、その細菌数を減らし、管の中を清掃する治療を言います。
例えば、むし歯が進行して神経まで達し強い痛みを感じている場合や、噛むと痛い、歯茎が腫れる、歯茎におできのようなものが出来る、というケースでも根管治療が必要になる可能性があります。
根管治療は歯の土台部分を治療し、歯を残す治療であり、抜歯はしません。
お困りの症状が消え、かつ自分の歯を残すことができるため、口腔内全体の健康維持にも役立つといえます。
しかしながら一方で、歯の根管内は非常に暗くて狭く、かつ複雑に枝分かれした構成をしているため、実は歯科医師の中でも苦手意識を持っている先生がおられる分野の一つです。その難しさから、再発を繰り返したり、逆に削りすぎにより歯の寿命を縮めてしまう結果になってしまうことも考えられます。
そのため根管治療は専門的な知識や技術、そしてその技術を具現化する設備環境と多くの条件が揃っているか否かによって、提供される治療に大きな差が出ます。
現在はセカンドオピニオンという言葉もだいぶ一般的になってきています。
「他医院で根の先に問題があって抜歯が必要と言われたけれど、できれば歯を残したい」といったお悩みのある方は、是非一度、当院に足を運んでいただけたらと思います。
歯内療法専門医による精密根管治療

当院理事長は、「PESCJ認定医」の資格を保有している歯科医師です。
PESCJ(ペンエンドスタディクラブインジャパン)とは、歯内療法の分野において世界で最も進んだ教育機関と言われているペンシルバニア大学歯内療法学科の臨床コンセプトとテクニックを広く伝えることを主な活動とする組織で、PESCJ認定医はPESCJの指定プログラムを修了し、一定の技術と知識を有すると認定された歯科医師に与えられる資格です。(※3)
歯内療法の専門医を探される際は、歯科医師の技量を図る一つの目安として参考にしていただければと思います。
根管治療は、歯内療法のうちの一つ

一般的には、根の治療のことをまとめて「根管治療」と呼んでいることが多くありますが、実は根の治療は根管治療以外にもいくつか種類があり、根管治療を含めた根の治療を総称して「歯内療法(しないりょうほう)」と言います。
歯内療法の種類
生活歯髄療法
歯の神経をできるだけ残すことを目的とした治療です。
術前の診断によって、保存可能かどうかの判断が大切です。
根管治療
歯の神経を除去することで痛みや炎症を取り除いたり、過去に根管治療を行った歯が再感染したり炎症が起こった場合に炎症を取り除くための治療を言います。
根管治療は主に、初回治療と再根管治療に分けられ、それぞれ成功率が異なります。
外科的歯内療法
根管治療での治癒が難しいケースの場合、外科的処置により直接患部を除去して歯の保存を試みる方法です。
外科的歯内療法には歯根端切除術や意図的再植などがあります。
根管治療の成功率

図:「ビジュアル歯内療法学 生物学的コンセプトとテクニックのすべて 著 伊藤創平 」より引用、改変
再根管治療の成功率
再根管治療(2回目以降)の成功率は、専門医による精密根管治療行った場合でも統計学的には約40~90%とされています。
多くの場合、再根管治療の成功率は前回までの根管治療の質によって大きく変わります。
例えば、歯科治療中の誤った処置により、根管とは異なる部分に穴が開いてしまっている「穿孔(パーフォレーション)」がおきていたり、根の先の形が以前の治療により偏位していると治療が難しくなり、成功率は40%程度(※4)となってしまいます。
逆に、前回までの治療で元の根の形態が破壊されておらず、元の形態を維持できている場合は80%程度の成功率になると考えられます。

図:「ビジュアル歯内療法学 生物学的コンセプトとテクニックのすべて 著 伊藤創平 」より引用、改変
※4 Gorni FG, Gagliani MM. The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-up. J Endod. 2004 Jan;30(1):1-4.
【外科的歯内療法】歯を残すためのセカンドチャンス

先ほど述べたように、専門医による精密根管治療でも歯の状態によっては成功率は40%という報告があります。
しかしながら、専門医は次なる保存する術を持っており、その成功率は約90%と言われています。(※5)
そのため、根管治療では治らなかった60%に対し外科的歯内療法を適用することで、トータルで考えると90%以上の成功率で治癒させることが出来ます。
外科的歯内療法は非常に高度な技術と経験を要する治療ですので、適切に行っている歯科医院はまだまだ少ないのが現状ですが、適切な設備環境と十分な技術をもって行えば、今まで抜歯は必要と判断されていた根の問題を解決することも十分可能です。
外科的歯内療法には主に、歯根端切除術、意図的再植術といった種類があります。

図:「ビジュアル歯内療法学 生物学的コンセプトとテクニックのすべて 著 伊藤創平 」より引用、改変
※5 Setzer FC, Shah SB, Kohli MR, Karabucak B, Kim S. Outcome of endodontic surgery: a meta-analysis of the literature- -part 1: comparison of traditional root-end surgery and endodontic microsurgery. J Endod 2010;36(11):1757-1765.
歯根端切除術
主に根管の形が湾曲していて根先まで器具が届かず清掃しきれない場合など、根管治療により良好な結果が得られないときに選択される治療法です。
根の先にアプローチするため、歯肉を広げて感染した根の先端を切断し、原因を取り除く方法です。
歯根端切除術には、従来の肉眼でおこなう方法とマイクロスコープなどを使用したモダンテクニックと言われる方法がありますが、術式や成功率が大きく違います。
通常、前歯から第一大臼歯(前から6番目)までの歯が適応です。

意図的再植術
根管治療では治らないような場合に、一度歯を抜いて、お口の外で抜いた歯を裏側から綺麗にし、15分以内に元の場所に再び戻す方法です。
治療のためにあえて一度抜いてから再植するため「意図的」と名付けられています。
一見、アクロバットに思われるかもしれませんが、1966年に紹介された術式で、長い歴史があります。(※6)
意図的再植術は、アメリカの歯内療法という歯の根っこの治療の学会でも紹介されている術式で、その成功率は90%以上という報告があります。(※7)
※6 Grossman LI. Intentional replantation of teeth. J Am Dent Assoc. 1966 May;72(5):1111-8.
※7 Wang L, Jiang H, Bai Y, Luo Q, Wu H, Liu H. Clinical outcomes after intentional replantation of permanent teeth: A systematic review. Bosn J Basic Med Sci. 2020 Feb 5;20(1):13-20.
精密根管治療を行う上での必須アイテム
マイクロスコープ

根管内のすべての細菌を極力取り除くためには、根の中の状態を目視しながら治療を行う必要があります。
しかしながら、細くて暗い根管中を肉眼で確認することは非常に困難。どうしても見落としが出てしまいます。
当院では、最大21.3倍まで拡大できる歯科用マイクロスコープを使用しており、肉眼やルーペを使用する治療よりもよりよく認識が出来る視野にて治療を提供しています。
ラバーダム
根管治療を成功させるのに最も重要なことは、細菌の感染を防ぐことです。
実は、唾液の中には虫歯菌、歯周病菌、カゼのウイルスなどさまざまな細菌や目に見えない汚れが含まれています。
根管治療中は常にその細菌が根管内に入っていくリスクにさらされているのが状態です。
ペットボトルに唾液を入れて放置したらどうなるでしょうか?治療中に唾液が根の中に混入することはあってはならないことです。
そのリスクから歯を守るためには、ラバーダムと呼ばれる薄いゴムのシートをかぶせ、根管内に唾液が侵入しないように治療中の歯と口の中を隔てる必要があります。(※8)
さらに、歯の周囲に封鎖材(当院ではオラシールを使用)を巻いています。(※9)
またそのことにより、針のようなファイルという器具や根管の殺菌薬がのどに落ちないよう安全対策にもつながっています。
ラバーダムの使用は、根管治療の成功のために必要不可欠なものです。
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※8 Dental Dams AAE Position Statement 2017
https://www.aae.org/specialty/wp-content/uploads/sites/2/2017/06/dentaldamstatement.pdf
※9 https://www.ultradent.jp/products/categories/prepare/caulking-and-putty-pastes/oraseal
CT(CBCT、コンビームコンピュータトモグラフィ)

CT画像では、従来のレントゲン画像ではわかりにくい根管の数や病変の位置・広がりといった情報も3次元的に把握することができるため、より確実に状況把握を行うことが可能となります。(※1)(※10)(※11)
当院では、北米の学会ガイドラインに沿って撮影しています。(※2)
※1 Estrela C, Bueno MR, Leles CR, Azevedo B, Azevedo JR. Accuracy of cone beam computed tomography and panoramic and periapical radiography for detection of apical periodontitis. J Endod. 2008 Mar;34(3):273-9.
※2 Special Committee to Revise the Joint AAE/AAOMR Position Statement on use of CBCT in Endodontics. AAE and AAOMR joint position statement: use of cone beam computed tomography in endodontics 2015 update. Oral surg oral med oral pathol oral radiol 2015;120(4):508-512.
※10 Pigg M, List T, Petersson K, Lindh C, Petersson A. Diagnostic yield of conventional radiographic and cone-beam computed tomographic images in patients with atypical odontalgia. Int Endod J 2011;44(12):1092-1101.
※11 Estrela C, Bueno MR, Leles CR, Azevedo B, Azevedo JR. Accuracy of cone beam computed tomography and panoramic and periapical radiography for detection of apical periodontitis. J Endod 2008;34(3):273-279.
ニッケルチタンロータリーファイル(NiTiファイル)

ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)とは柔軟性が高く、湾曲に富んださまざまな形状の根管に沿って処置を行うことができる治療器具です。
根管治療では、根の中を清掃するために「ファイル」と呼ばれる器具を使用しますが、このファイルには大きく分けて二種類あり、ひとつが「ステンレススチールファイル」、もうひとつが「ニッケルチタンファイル(NiTiファイル)」というものです。
当院では両者の特性を生かして十分な柔軟性を持つニッケルチタンファイルも同時に使用しています。
超音波洗浄

根管治療の成功率を上げるためには、根管内の汚れを完全に除去し、無菌化することが必要となります。
通常は、ファイルを使用して根管内の汚れを除去した後、薬剤を使用して根管内の無菌化を図りますが、当院では、薬液による化学的な洗浄に加え超音波を使用した根管内洗浄も行っております。
超音波洗浄を行うことにより、根管内の汚れを効果的に除去でき、通常では届きにくい根の先の隅々まで洗浄液を届かせることができます。(※12)(※13)
※12 van der Sluis LW, Versluis M, Wu MK, Wesselink PR. Passive ultrasonic irrigation of the root canal: a review of the literature. Int Endod J 2007;40(6):415-426.
※13 Gutarts R, Nusstein J, Reader A, Beck M. In vivo debridement efficacy of ultrasonic irrigation following hand-rotary instrumentation in human mandibular molars. J Endod 2005;31(3):166-170.
根管治療に関する論文一覧